2008年08月28日(Thu)
黒沢映画をみる
お盆の疲れをいやすために、図書館で黒沢作品を借りて、猫とともに寝転がって観た。
「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」そして「天国と地獄」 すべて黒沢明と三船敏郎のコンビがすばらしく、楽しかった。1963年制作の「天国と地獄」は東京オリンピック以前の横浜が舞台。
工場がひろがり、煙突からは黒い煙が吹き上がり、記憶の中の日本の風景があった。人が夢見た「天国」は、現在、実現されたかに見えるのだが、どうなのだろうか。1977年の「スターウオーズ」には酔いしれたが、今思い返すと、あれから映画はCG一色になり、おもしろくなくなったように思う。
黒沢作品も1980年の「影武者」には往年の黒沢のおもしろさはない。今度見直してみたが、途中で観るのを止めた。
創造はなく、みずからの様式の踏襲が見られるだけだった。あの三船敏郎の演技にみられる力強さ、東京オリンピック以前の日本人が持っていた生活力が、今、必要なのではなかろうか。
「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」そして「天国と地獄」 すべて黒沢明と三船敏郎のコンビがすばらしく、楽しかった。1963年制作の「天国と地獄」は東京オリンピック以前の横浜が舞台。
工場がひろがり、煙突からは黒い煙が吹き上がり、記憶の中の日本の風景があった。人が夢見た「天国」は、現在、実現されたかに見えるのだが、どうなのだろうか。1977年の「スターウオーズ」には酔いしれたが、今思い返すと、あれから映画はCG一色になり、おもしろくなくなったように思う。
黒沢作品も1980年の「影武者」には往年の黒沢のおもしろさはない。今度見直してみたが、途中で観るのを止めた。
創造はなく、みずからの様式の踏襲が見られるだけだった。あの三船敏郎の演技にみられる力強さ、東京オリンピック以前の日本人が持っていた生活力が、今、必要なのではなかろうか。
2008年08月21日(Thu)
ヒロシマとナガサキ
今年もヒロシマとナガサキの式典が終わった。
あれから六十三年、被爆者の平均年齢は七十五歳。
しかし、残念なことに被爆認定問題は被爆者にとってまだ不十分であろう。
そんな中、毎年毎年、多くの被爆者が亡くなっていく。
あと十年余もすれば、直接の被爆者は少なくなるだろう。
厚労省はひたすらその時の来るのを待っているのではないのか。
こういう国家の態度を国民にあらわにしていて、日本の将来は大丈夫なのか。
国家への誇りが生まれるべくもないだろう。
帰宅途中のタクシーの中でビールや商品券のキックバックをせびる役人は前防衛省の次官に比べればかわいいものだが、かれらに自尊心はあるのだろうか。
日本国の組織が劣化していることはまちがいない。
『狂気の核武装大国アメリカ』(集英社新書)という本が出た。
毎日新聞の田中優子氏の紹介によると、核軍事システムがますます強くなるわけは、軍産複合体が国家を牛耳っているからだという。
前世紀半ばにアイゼンハワー米大統領が指摘していたことだが、日本で言うと天下り体制だろう。
今後、世界を滅亡へ導くのは、体内に巣食ったこのような癌組織かもしれない。
なんだか世界は百年前に逆戻りしたようで、そういえば、小林多喜二の『蟹工船』が売れる理由はこんなところにあるのかもしれない。
あれから六十三年、被爆者の平均年齢は七十五歳。
しかし、残念なことに被爆認定問題は被爆者にとってまだ不十分であろう。
そんな中、毎年毎年、多くの被爆者が亡くなっていく。
あと十年余もすれば、直接の被爆者は少なくなるだろう。
厚労省はひたすらその時の来るのを待っているのではないのか。
こういう国家の態度を国民にあらわにしていて、日本の将来は大丈夫なのか。
国家への誇りが生まれるべくもないだろう。
帰宅途中のタクシーの中でビールや商品券のキックバックをせびる役人は前防衛省の次官に比べればかわいいものだが、かれらに自尊心はあるのだろうか。
日本国の組織が劣化していることはまちがいない。
『狂気の核武装大国アメリカ』(集英社新書)という本が出た。
毎日新聞の田中優子氏の紹介によると、核軍事システムがますます強くなるわけは、軍産複合体が国家を牛耳っているからだという。
前世紀半ばにアイゼンハワー米大統領が指摘していたことだが、日本で言うと天下り体制だろう。
今後、世界を滅亡へ導くのは、体内に巣食ったこのような癌組織かもしれない。
なんだか世界は百年前に逆戻りしたようで、そういえば、小林多喜二の『蟹工船』が売れる理由はこんなところにあるのかもしれない。
2008年08月04日(Mon)
地獄はこの世にある
世界的な免疫学者、古美術のコレクターとしても著名な多田富雄先生の闘病記『寡黙なる巨人』(2007集英社)を読んだ。
脳梗塞との苛烈な戦いと治療、回復の過程が医学者の眼を通して記録されている。ここでは病気になって書いた先生の詩の一節を紹介しよう。
死ぬことなんか容易い
生きたままこれを見なければならぬ
よく見ておけ
地獄はここだ
遠いところにあるわけではない
ここなのだ
君だって行けるところなのだ (47頁)
健康なひとには絶対に見えてこない地獄があるのだ。
同じように、この世にはいろいろな地獄がある。
借金している人は借金地獄、孤独な人は孤独地獄‥‥。
たまたまその地獄に足を踏み入れなかった人は、今、つかのまの幸せを味わっているに過ぎないと思うべきだろう。
そして今日の政治の貧困はこの地獄の苦しみを増幅させている。
先生は現在の医療制度の改悪を批判して「狡猾な厚労省の役人」(240頁)と指弾している。
私たちも、立正安国・お題目結縁運動に真剣に取り組んで、宗教の貧困と批判されないようにしたいものだ。
脳梗塞との苛烈な戦いと治療、回復の過程が医学者の眼を通して記録されている。ここでは病気になって書いた先生の詩の一節を紹介しよう。
死ぬことなんか容易い
生きたままこれを見なければならぬ
よく見ておけ
地獄はここだ
遠いところにあるわけではない
ここなのだ
君だって行けるところなのだ (47頁)
健康なひとには絶対に見えてこない地獄があるのだ。
同じように、この世にはいろいろな地獄がある。
借金している人は借金地獄、孤独な人は孤独地獄‥‥。
たまたまその地獄に足を踏み入れなかった人は、今、つかのまの幸せを味わっているに過ぎないと思うべきだろう。
そして今日の政治の貧困はこの地獄の苦しみを増幅させている。
先生は現在の医療制度の改悪を批判して「狡猾な厚労省の役人」(240頁)と指弾している。
私たちも、立正安国・お題目結縁運動に真剣に取り組んで、宗教の貧困と批判されないようにしたいものだ。