2009年05月07日(Thu)
今月の聖語[平成二十一年五月]
平成二十一年五月の聖語をご紹介します。
=解説=「即身成仏」 弘安四年(一二八一年聖寿六十歳)
現在の肉身のままでただちに成仏する、これが即身成仏(現身成仏、現生成仏、一生成仏ともいう)。日蓮聖人の教説は、唱題受持によって成仏を決するので唱題成仏、受持成仏ともいう。「蓮華と申す花は菓と花と同時なり」と花果同時の特性を述べるが、一般には「前華後菓と申して華は前、菓は後なり」。しかし蓮華は同時。このことにこと寄せて、即身成仏の法門をあかし、法華経信仰は、華果同時の蓮華のようであるといい、あるいは音と響きは同時であるようにと、譬話を重ね、法華経信仰、唱題による凡夫即身成仏の証明を簡明に、また卑近に日蓮聖人は明かされる。
=解説=「即身成仏」 弘安四年(一二八一年聖寿六十歳)
現在の肉身のままでただちに成仏する、これが即身成仏(現身成仏、現生成仏、一生成仏ともいう)。日蓮聖人の教説は、唱題受持によって成仏を決するので唱題成仏、受持成仏ともいう。「蓮華と申す花は菓と花と同時なり」と花果同時の特性を述べるが、一般には「前華後菓と申して華は前、菓は後なり」。しかし蓮華は同時。このことにこと寄せて、即身成仏の法門をあかし、法華経信仰は、華果同時の蓮華のようであるといい、あるいは音と響きは同時であるようにと、譬話を重ね、法華経信仰、唱題による凡夫即身成仏の証明を簡明に、また卑近に日蓮聖人は明かされる。
2009年04月30日(Thu)
たいせつなこと
『たいせつなこと』というのはじつは絵本です。
絵の美しさと題名に惹かれて手にした。この絵本が出版されたのは1949年のアメリカ。訳者の内田さんが外国の小さな本屋で見つけて感動して、翻訳、出版されたのは2001年のこと。
私は読んで、驚いた。
法華経薬草兪品の世界がそのまま、簡潔なことばで表現されていると思った。
絵本の最後のページに、あなたにとってたいせつなのは、「あなたがあなたであること」と記されていた。
ところで、わたしは、目白の「古道具坂田」と中目黒の「cow books]という古本屋が好きで、機会があるとのぞいている。
どちらも、あまり広くない店が、目立たない通りにひっそりと建っている。
どちらも庵のような雰囲気。
共通していることは、お店をつくったご主人の人生がそのまま形になっていることだろう。
いま、この二つのお店のまえに立つたびに、「あなたがあなたであること」のたいせつさと、そしてそのむずかしさを思うのである。
人生の大半をかけて作り上げた、お店の形とこころが目の前に存在しているのだ。
これはもちろん、お寺も同じである。
そこの住職と家族が心をこめて作り上げたものが形になっているのである。
お寺を訪ねる人の心によいものを与えるお寺にしたいものと、わたしも努力しているのだが、たいへんむずかしいものだと反省している。
そういう意味で、目白と中目黒の二つのお店は、よいお手本だと、思っている。
絵の美しさと題名に惹かれて手にした。この絵本が出版されたのは1949年のアメリカ。訳者の内田さんが外国の小さな本屋で見つけて感動して、翻訳、出版されたのは2001年のこと。
私は読んで、驚いた。
法華経薬草兪品の世界がそのまま、簡潔なことばで表現されていると思った。
絵本の最後のページに、あなたにとってたいせつなのは、「あなたがあなたであること」と記されていた。
ところで、わたしは、目白の「古道具坂田」と中目黒の「cow books]という古本屋が好きで、機会があるとのぞいている。
どちらも、あまり広くない店が、目立たない通りにひっそりと建っている。
どちらも庵のような雰囲気。
共通していることは、お店をつくったご主人の人生がそのまま形になっていることだろう。
いま、この二つのお店のまえに立つたびに、「あなたがあなたであること」のたいせつさと、そしてそのむずかしさを思うのである。
人生の大半をかけて作り上げた、お店の形とこころが目の前に存在しているのだ。
これはもちろん、お寺も同じである。
そこの住職と家族が心をこめて作り上げたものが形になっているのである。
お寺を訪ねる人の心によいものを与えるお寺にしたいものと、わたしも努力しているのだが、たいへんむずかしいものだと反省している。
そういう意味で、目白と中目黒の二つのお店は、よいお手本だと、思っている。
2009年04月13日(Mon)
醍醐桜を見る
タレントの一言は恐ろしい。
タモリが「日本一の桜は岡山北部の醍醐桜だと思う」と言ったものだから、行こうということになった。
中国自動車道・北房でおりて三十分。
車をとめてゆっくり登っていくと、かなたに醍醐桜。
千年桜ともいい、後醍醐天皇が愛でたと伝わる。
五分咲きだった。彼岸桜の一種だという。ソメイヨシノと比べて花は小さい。きりっとしている。主幹からは霊気がただよう。その貫禄は近くに植えられた二代目醍醐桜と比べれば、一目瞭然。
芝生にころがって醍醐桜を眺めると快い。千年の樹とくらべて私たちの命のなんとはかないことか。春の気配の中で、この樹と再び会うことができるのだろうかと感慨にひたった。
岡山へと向かう途中で、高梁・備中松山城に登った。
日本一高い山城だそうだ。海抜五百メートル弱。断崖絶壁上に天守閣がある。
車をとめて、七百メートルほど息をきらしてたどり着いた。内部に入ると、城主の間があった。
ここで最期を迎えた一族もあったのかもしれない。
醍醐桜とはちがう霊気がただよっていた。
霊気を感じるとき、私自身のいのちの大きさを、同時に感じるような思いがした。
気分のよい旅だった。
タモリが「日本一の桜は岡山北部の醍醐桜だと思う」と言ったものだから、行こうということになった。
中国自動車道・北房でおりて三十分。
車をとめてゆっくり登っていくと、かなたに醍醐桜。
千年桜ともいい、後醍醐天皇が愛でたと伝わる。
五分咲きだった。彼岸桜の一種だという。ソメイヨシノと比べて花は小さい。きりっとしている。主幹からは霊気がただよう。その貫禄は近くに植えられた二代目醍醐桜と比べれば、一目瞭然。
芝生にころがって醍醐桜を眺めると快い。千年の樹とくらべて私たちの命のなんとはかないことか。春の気配の中で、この樹と再び会うことができるのだろうかと感慨にひたった。
岡山へと向かう途中で、高梁・備中松山城に登った。
日本一高い山城だそうだ。海抜五百メートル弱。断崖絶壁上に天守閣がある。
車をとめて、七百メートルほど息をきらしてたどり着いた。内部に入ると、城主の間があった。
ここで最期を迎えた一族もあったのかもしれない。
醍醐桜とはちがう霊気がただよっていた。
霊気を感じるとき、私自身のいのちの大きさを、同時に感じるような思いがした。
気分のよい旅だった。