アーカイブリスト
2009年03月31日(Tue)
絵本の読み語り
お参りの檀信徒に宮沢賢治の童話を紙芝居で楽しんでいただく。
二、三度くりかえすと上手にはなるが、なかには重ねて聞く人も居る。
そこで、これも以前から考えていた絵本の読み語りをはじめた。
見台に絵本を置いて、コピーした文章を手元にもって読みながら絵本をめくる。
絵と文章と内容がふさわしいと充分に聞いてもらえる。
しかし、三拍子そろった絵本は少ない。
柳田邦男さんの『砂漠でみつけた一冊の絵本』(岩波書店)などを参考にしているが、この本で推薦されている絵本でも、実際に手にとって開いてみると、採用できるものはすくない。
書店や古本屋をまわって、求めたものをあげておく。
『ウエン王子とトラ』(徳間書店)
『郵便局員ねこ』(ほるぷ出版)
『ひさの星』(岩崎書店)
『紙しばい屋さん』(ほるぷ出版)
『100万回生きたねこ』(講談社)
『黒ねこのおきゃくさま』(福音館書店)‥
柳田さんは心を耕すために大人にこそ読んでもらいたいと言う。
ともかく気に入る絵本を探すことは愉しいものです。
二、三度くりかえすと上手にはなるが、なかには重ねて聞く人も居る。
そこで、これも以前から考えていた絵本の読み語りをはじめた。
見台に絵本を置いて、コピーした文章を手元にもって読みながら絵本をめくる。
絵と文章と内容がふさわしいと充分に聞いてもらえる。
しかし、三拍子そろった絵本は少ない。
柳田邦男さんの『砂漠でみつけた一冊の絵本』(岩波書店)などを参考にしているが、この本で推薦されている絵本でも、実際に手にとって開いてみると、採用できるものはすくない。
書店や古本屋をまわって、求めたものをあげておく。
『ウエン王子とトラ』(徳間書店)
『郵便局員ねこ』(ほるぷ出版)
『ひさの星』(岩崎書店)
『紙しばい屋さん』(ほるぷ出版)
『100万回生きたねこ』(講談社)
『黒ねこのおきゃくさま』(福音館書店)‥
柳田さんは心を耕すために大人にこそ読んでもらいたいと言う。
ともかく気に入る絵本を探すことは愉しいものです。
2009年03月25日(Wed)
【いのちに合掌】の難しさ
お彼岸も過ぎた。
今年の法話の題は「いのちに合掌のむずかしさ」であった。
と、いうのは、毎年三月になると、お寺はいつも鳥の被害に悩まされるからだ。
丹精してじゅうたんのようになっている苔の庭が鳥に荒らされるのである。
目当ては苔の下の虫やミミズらしい。
もう、こうなると「かわいい鳥の鳴き声だね」などといってられない。
外へ出ては、ひっくりかえされた苔を元へと戻す、このわずらわしさ。
「ぶっころしてやる」と思わずつぶやいているが、敵は空の上、どうにもならない。
家内にぶつぶつ言うと、「いのちに合掌でしょう」と、こちらは鳥の味方である。
こうして毎年、鳥とのにらみ合いが続くのだが、いつも、こちらの負けである。
なにしろ、敵は生きるためにエサをとっているのだから、その真剣さにはつねに負けるのである。
「いのちに合掌」もたいへんなのだ。
鳥についばまれる虫やミミズもいのちだが。
先日、テレビで「森山大道、犬の記憶」が放映された。
私は森山大道の写真のフアンなので録画して三回見た。
そのなかで二十年前の新宿バス放火事件のことが話題になっていて、犯行のきっかけは、犯人が犯行の直前に、通行人の一人から「お前、あっちへ行け」とののしられたことが原因のひとつではないかと語っている人がいた。
ののしった通行人はののしった言葉さえ覚えていないだろう。
しかし、ののしられたほうにしてみると、それが犯行のひきがねとなったことは充分に考えられることだ。
「いのちに合掌」のむずかしさは、弱者の立場に立つことのむずかしさではないだろうか。
「いのちに合掌」の出典のひとつは法華経常不軽菩薩品。
合掌して礼拝した不軽菩薩はけっして強者ではなかったということに留意することが大事なことではなかろうか。
今、WBCの決勝戦が始まった。
どちらが勝つのか。
勝敗がついたときにはお互いに讃えあおうではないか。
それが人や国家の成熟というものだろう。
今年の法話の題は「いのちに合掌のむずかしさ」であった。
と、いうのは、毎年三月になると、お寺はいつも鳥の被害に悩まされるからだ。
丹精してじゅうたんのようになっている苔の庭が鳥に荒らされるのである。
目当ては苔の下の虫やミミズらしい。
もう、こうなると「かわいい鳥の鳴き声だね」などといってられない。
外へ出ては、ひっくりかえされた苔を元へと戻す、このわずらわしさ。
「ぶっころしてやる」と思わずつぶやいているが、敵は空の上、どうにもならない。
家内にぶつぶつ言うと、「いのちに合掌でしょう」と、こちらは鳥の味方である。
こうして毎年、鳥とのにらみ合いが続くのだが、いつも、こちらの負けである。
なにしろ、敵は生きるためにエサをとっているのだから、その真剣さにはつねに負けるのである。
「いのちに合掌」もたいへんなのだ。
鳥についばまれる虫やミミズもいのちだが。
先日、テレビで「森山大道、犬の記憶」が放映された。
私は森山大道の写真のフアンなので録画して三回見た。
そのなかで二十年前の新宿バス放火事件のことが話題になっていて、犯行のきっかけは、犯人が犯行の直前に、通行人の一人から「お前、あっちへ行け」とののしられたことが原因のひとつではないかと語っている人がいた。
ののしった通行人はののしった言葉さえ覚えていないだろう。
しかし、ののしられたほうにしてみると、それが犯行のひきがねとなったことは充分に考えられることだ。
「いのちに合掌」のむずかしさは、弱者の立場に立つことのむずかしさではないだろうか。
「いのちに合掌」の出典のひとつは法華経常不軽菩薩品。
合掌して礼拝した不軽菩薩はけっして強者ではなかったということに留意することが大事なことではなかろうか。
今、WBCの決勝戦が始まった。
どちらが勝つのか。
勝敗がついたときにはお互いに讃えあおうではないか。
それが人や国家の成熟というものだろう。
2009年03月16日(Mon)
オスカーってなあに
二、三日前の地元の伝道企画会議の席上、映画「おくりびと」を観たかどうかが話題になった。何人かは観ていた。話が進むうちに、オスカーってどういう意味、と誰かが言った。「おくりびと」でアカデミー賞を受賞した滝田監督が右手につかんでいる像のことだ。何でオスカーって言うんだろう。テレビも新聞も解説しない。みんな知っているのだろうか。
帰宅した翌日、古本屋をのぞくと、『アカデミー賞』(川本三郎 中公文庫 2004年)があったので、買って帰り、開いた。
すると次のように、説明されていた。
アカデミー賞の像は‥いつしかオスカーという愛称で呼ばれるようになった。
その語源は、これも伝説によれば、アカデミーの事務局で働く女性職員マーガレット・へリックが1931年にはじめて小像を見たときに「私の叔父さんのオスカーにそっくりだわ」といったことによるとされている。(46頁)
じゃあ、オスカーはいったいどんな像なのだろう。
これは次のように説明されている。
MGMの美術監督セドリック・ギボンズに像のデザインが一任された。
ギボンズは会議中に思いつくまま紙の上にスケッチを始めた。
裸の男が十字軍の剣を持ってフィルムのリールの上に立っている。
リールにはアカデミーの五部会をあらわす五つの穴があいている。
厳粛で力強い印象があり、このデザインがただちに採用された。(43頁)
へえー、十字軍か、と私は本当に驚いたのであった。
さすが、オバマ大統領がリンカーンの聖書に手をおいて就任宣誓した国家だ。
どこまでもキリスト教なのだ。
すべてミッションなのだ。
「おくりびと」がアカデミー賞を受賞したことはおめでたいとしても、もうすこし意味を理解した上で喜ぶべきだろう。
アカデミー賞外国語映画賞委員会の委員長は授賞の理由を次のように語っている。
「おくりびと」は戦争を見飽きた米国人にとって「癒やし」の映画だ。(3月1日付け毎日新聞)
この感想を聞くとなんだかよけい複雑な気分だ。
よし、「おくりびと」を観て考えよう。
帰宅した翌日、古本屋をのぞくと、『アカデミー賞』(川本三郎 中公文庫 2004年)があったので、買って帰り、開いた。
すると次のように、説明されていた。
アカデミー賞の像は‥いつしかオスカーという愛称で呼ばれるようになった。
その語源は、これも伝説によれば、アカデミーの事務局で働く女性職員マーガレット・へリックが1931年にはじめて小像を見たときに「私の叔父さんのオスカーにそっくりだわ」といったことによるとされている。(46頁)
じゃあ、オスカーはいったいどんな像なのだろう。
これは次のように説明されている。
MGMの美術監督セドリック・ギボンズに像のデザインが一任された。
ギボンズは会議中に思いつくまま紙の上にスケッチを始めた。
裸の男が十字軍の剣を持ってフィルムのリールの上に立っている。
リールにはアカデミーの五部会をあらわす五つの穴があいている。
厳粛で力強い印象があり、このデザインがただちに採用された。(43頁)
へえー、十字軍か、と私は本当に驚いたのであった。
さすが、オバマ大統領がリンカーンの聖書に手をおいて就任宣誓した国家だ。
どこまでもキリスト教なのだ。
すべてミッションなのだ。
「おくりびと」がアカデミー賞を受賞したことはおめでたいとしても、もうすこし意味を理解した上で喜ぶべきだろう。
アカデミー賞外国語映画賞委員会の委員長は授賞の理由を次のように語っている。
「おくりびと」は戦争を見飽きた米国人にとって「癒やし」の映画だ。(3月1日付け毎日新聞)
この感想を聞くとなんだかよけい複雑な気分だ。
よし、「おくりびと」を観て考えよう。
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